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ヘアリーベッチは、窒素固定に加え、アレロパシー作用で雑草を抑制する緑肥です。根から分泌されるシアナミドが雑草種子の休眠を打破し、時期外れの発芽を促して枯死させる効果があります。シアナミドは石灰窒素の成分であり、土壌消毒にも利用されます。裏作でヘアリーベッチを栽培すれば、土壌消毒と土壌改良を同時に行え、後作の秀品率向上に繋がると考えられます。さらに、ヘアリーベッチは木質資材の分解促進効果も期待できるため、播種前に安価な木質資材をすき込むことで、土壌改良効果とシアナミド分泌量の増加が期待できます。この手法は従来の太陽光と石灰窒素による土壌消毒より効果的かもしれません。今後の課題は、シアナミドの作用点と、効果のない土壌微生物の特定です。
カテゴリー : 緑肥/page-2
土壌消毒として緑肥の栽培はどうか?
シデロフォアから見る鉄不足に陥るところ
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鶏糞堆肥の多用は、高EC、高石灰、高リン酸を引き起こし、植物のミネラル吸収を阻害する。特に高石灰は鉄の吸収を妨げ、光合成の質を低下させる。石灰質土壌では、イネ科植物は鉄不足に対抗するため、植物シデロフォアを分泌して鉄を吸収するストラテジーⅡ型を持つ。鶏糞堆肥とイネ科緑肥の組み合わせは、緑肥が土壌中の鉄を有効化し貯蔵することで、鶏糞堆肥のデメリットを補う有効な手段となる可能性がある。つまり、イネ科緑肥は過剰な石灰による鉄欠乏を防ぎ、健全な生育を促進する役割を果たす。
植物はカルシウムを使って体を丈夫にする
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植物は細胞壁の強化にカルシウムを利用するが、イネ科植物はカルシウム含量が低い。これは、ケイ素を利用して強度を確保しているためと考えられる。細胞壁はセルロース、ヘミセルロース、ペクチン、リグニンで構成され、ペクチン中のホモガラクツロナンはカルシウムイオンと結合しゲル化することで、繊維同士を繋ぎ強度を高める。しかし、イネ科植物はケイ素を吸収し、細胞壁に沈着させることで強度を高めているため、カルシウムへの依存度が低い。この特性は、カルシウム過剰土壌で緑肥として利用する際に有利となる。
グラスエンドファイトと天敵でヨトウの被害を減らせるか?
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イネ科緑肥、特にペレニアルライグラスの活用によるヨトウムシ防除の可能性について考察している。ペレニアルライグラスに共生するグラスエンドファイトのアルカロイドはヨトウムシへの効果が不明なため、ヨトウムシの天敵に着目。農研機構の研究では、ネギ栽培におけるムギの間作が、クモやカメムシなどの天敵を呼び寄せ、ヨトウムシ防除に効果があったと報告されている。これを踏まえ、作物へのヨトウムシの到達を防ぐために、天敵が住み着くムギの間作が有効だと結論づけている。ペレニアルライグラスは多湿に弱く窒素要求量が多いため、通路ではなく圃場の周囲に植えるのが適切であると考え、通路にはマルチムギ、周囲にはペレニアルライグラスという二段構えの防除体系を提案している。
グラスエンドファイトのアルカロイドに頼りたい
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ライムギは麦角菌に感染しやすく、菌が産生する麦角アルカロイドにより麦角中毒を引き起こす。中毒症状は壊疽型と痙攣型に分類され、深刻な健康被害をもたらす。中世ヨーロッパでは「聖アントニウスの火」と呼ばれ恐れられた。現代では品種改良や栽培管理により麦角中毒は減少したが、ライムギは依然として麦角菌の宿主となる可能性がある。家畜への飼料にも注意が必要で、感染したライムギは家畜にも中毒症状を引き起こす。そのため、ライムギの栽培・利用には麦角菌への感染リスクを考慮する必要がある。
畑作の間に稲作をかますということ
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イネ科緑肥は、土壌改良効果が期待される一方で、窒素飢餓や線虫被害といった問題も引き起こす可能性がある。その効果は土壌の状態や緑肥の種類、すき込み時期によって大きく変動する。窒素飢餓は、緑肥の分解に伴う微生物の活動による窒素消費が原因で、イネ科緑肥は炭素率が高いため特に起こりやすい。線虫被害は、特定のイネ科緑肥が線虫を増加させる場合があるため、種類選定が重要となる。効果的な利用には、土壌分析に基づいた緑肥の選定、適切なすき込み時期の決定、必要に応じて窒素肥料の追肥などの対策が必要となる。また、緑肥以外の土壌改良資材との併用も有効な手段となり得る。
風よけとしての緑肥
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ソルガムは土壌改良に優れた緑肥で、強靭な根と高い背丈、C4型光合成によるCO2固定量の多さが特徴です。酸性土壌や残留肥料にも強く、劣化した土壌の改善に役立ちます。畑の周囲にソルガムを植えるのは、バンカープランツとして害虫を誘引し、天敵を呼び寄せる効果を狙っている可能性があります。鳥取砂丘では、風よけや肥料流出防止のためオオムギを周囲に植える慣習があります。ソルガムも同様に、強風や台風対策として風よけ、CO2固定、根による土壌安定化に有効かもしれません。これらの効果は、近年の気象変動への対策として期待されます。
イネ科緑肥の効果、再考の再考
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ネギの通路にマルチムギを緑肥として栽培することで、土壌への酸素供給が向上し、ネギの生育が促進される可能性が示唆されている。ムギはROLバリアを形成しないため、根から酸素が漏出し、酸素要求量の多いネギの根に供給される。特に、マルチムギの密植とネギの根の伸長のタイミングが重なることで、この効果は最大化される。マルチムギは劣悪な土壌環境でも生育できるため、土壌改良にも貢献する。この方法は、光合成量の増加、炭素固定、排水性・根張り向上といった利点をもたらし、今後の気候変動対策としても有効と考えられる。栽培初期は酸素供給剤も併用することで、更なる効果が期待できる。
良い土にはふんだんに酸素が入るもの
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良い土壌には酸素が豊富だが、拡散だけで十分に行き渡るのか疑問だった。ROL(根からの酸素漏出)という概念が解決策を与えてくれた。酸素は植物の茎葉から根へ運搬され、ROLによって土壌へ拡散される。良い土壌では植物の根量が増え、ROLも増加するため、土壌への酸素供給も増える。この考え方は、京都でネギとマルチムギを高密度栽培した成功例にも説明を与え、根からの酸素供給が土壌環境改善に大きく貢献している可能性を示唆する。
続・栽培と畜産の未来のために補足
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客土に川砂を入れることで、水はけ改善だけでなく、ミネラル供給という大きなメリットがある。特に、農業で酷使された土壌はカリウムが不足しがちで、カリウムは他の微量要素を溶脱させるため、結果的に植物の生育に必要な様々なミネラルが欠乏する。川砂は岩石の風化物であり、様々なミネラルを含んでいるため、これを客土に混ぜることで不足したミネラルを補給できる。つまり、川砂は単なる土壌改良材ではなく、天然のミネラル肥料としての役割も果たすと言える。河川の浚渫土砂は処分に困る場合も多いが、農業利用することで資源の有効活用にも繋がる。
続・栽培と畜産の未来のために
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白色腐朽菌はリグニンを分解する能力を持つが、トリコデルマ菌と競合するとリグニンの分解が抑制される。これは、トリコデルマ菌が白色腐朽菌の生育を阻害する抗生物質を産生するためである。一方、堆肥化過程で白色腐朽菌が優占すると、トリコデルマ菌の増殖は抑制される。つまり、堆肥化におけるリグニンの分解効率は、白色腐朽菌とトリコデルマ菌の拮抗作用によって左右される。木質資材と家畜糞を組み合わせた場合、両菌のバランスが変化し、リグニンの分解が抑制される可能性があるため、この点に注意が必要だ。
イネ科とマメ科の緑肥の混播
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イネ科とマメ科の緑肥混播は、土壌改良に効果的である。荒れた土地での緑肥栽培で、エンバクとアルサイクローバの混播が成功した事例が紹介されている。アルサイクローバはシロクローバとアカクローバの中間的な性質を持ち、側根が繁茂しやすい。この混播により、クローバが土壌を覆い、エンバクがその間から成長することで、相乗効果が生まれた。ハウスミカン栽培においては、落ち葉の分解が進まない問題があり、土壌中の菌が少ないことが原因と考えられる。木質資材とクローバの組み合わせが有効だが、連作によるEC上昇が懸念される。そこで、EC改善効果を持つイネ科緑肥とクローバの混播が有効と考えられる。
イネ科緑肥の効果、再考
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露地ネギの畝間に緑肥マルチムギを導入したところ、ひび割れ多発土壌が改善し、ネギの生育も向上した。ひび割れの原因は腐植不足と水溶性成分蓄積(高EC)だが、マルチムギはこれらの問題を解決する。マルチムギは活性アルミナを無害化し、養分を吸収、土壌を柔らかくして排水性を向上させる。これにより、作物の発根が促進され、高EC土壌でも生育が可能になる。マルチムギとの養分競合も、基肥を発根促進に特化し、NPKを追肥で施すことで回避できる。結果として、発根量の増加は微量要素の吸収を促し、病害虫への抵抗性向上に繋がる。
マルチムギが劣化土壌に果敢に挑む
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肥料の過剰供給による土壌劣化と、それに伴うスギナ繁茂、ひび割れ、保水力低下といった問題を抱えた畑で、マルチムギ導入による土壌改善を試みた事例を紹介。休ませることのできない畑で、連作と速効性肥料により土壌が悪化し、アルミニウム障害を示唆するスギナが蔓延していた。ネギの秀品率も低下するこの畑で、マルチムギを栽培したところ、スギナが減少し始めた。マルチムギは背丈が低いためネギ栽培の邪魔にならず、根からアルミニウムとキレート結合する有機酸を分泌する可能性がある。これにより、土壌中のアルミニウムが腐植と結合し、土壌環境が改善されることが期待される。加えて、マルチムギはアザミウマ被害軽減効果も期待できる。
酸性土壌で生きる植物たち
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酸性土壌で問題となるアルミニウム毒性に対し、植物は様々な耐性機構を持つ。岡山大学の研究では、コムギがリンゴ酸輸送体(ALMT)を用いてリンゴ酸を分泌し、アルミニウムをキレート化することで無毒化していることを示している。しかし、全ての植物が同じ機構を持つわけではない。Nature Geneticsに掲載された研究では、ソルガムがクエン酸排出輸送体(MATE)を用いてクエン酸を分泌し、アルミニウムを無毒化していることが明らかになった。このクエン酸によるアルミニウム無毒化は、ソルガムの酸性土壌への適応に大きく貢献していると考えられる。この知見は、酸性土壌での作物栽培に役立つ可能性がある。
緑肥を活用する意義
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緑肥を活用する意義は、土壌の改良にあります。栽培後に勝手に生える草では、土壌が未熟な段階では効果的な緑肥にはなりません。レンゲ米のように、意図的にマメ科植物を育ててすき込むことで、土壌に栄養を供給できます。勝手に生える草は、ロゼット状に地面を覆ってしまい、成長しても緑肥効果は低いです。ナズナやタネツケバナのように、小型で早く開花してしまう草も多いです。土壌生産性を向上させるには、冬に強い植物を選抜して緑肥として活用する方が効果的です。しかし、自然の生態系には未知の要素もあるため、勝手に生える草の群生にも何らかの意味がある可能性も考慮すべきです。
余分な養分は緑肥に吸わせろ。石灰過多の場合
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土壌分析で高ECやリン酸過剰を示した場合、緑肥を栽培しすき込むことで改善が見込まれる。緑肥は土壌に高密度で根を張り巡らせ、リン酸などを吸収する。すき込み後は団粒構造の形成に寄与し、過剰分の悪影響を軽減する。しかし、炭酸石灰については、緑肥によって消費されるものの、植物体内でカルシウムは繊維質強化や酵素活性に利用され、最終的には土壌中に戻ってしまう。ミミズの働きで炭酸塩として再固定されるため、窒素やリン酸ほど顕著な減少は見られない。ただし、緑肥栽培による土壌物理性の向上、特に排水性向上により、過剰なカルシウムイオンが土壌深層へ移動する可能性がある。緑肥栽培は、硫酸石灰過多にも効果が期待できる。物理性の向上は、様々な土壌問題の解決に繋がる。
余分な養分は緑肥に吸わせろ。リン過剰の場合
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鳥取砂丘の未熟土壌での栽培は、保水性・保肥性の低さ、強風、高温といった厳しい環境への対策が必要となる。著者は、砂丘地帯の傾斜を利用した雨水貯留、海藻堆肥による土壌改良、風除けのためのヒマワリ栽培、さらにマルチや緑肥の活用で土壌環境の改善に取り組んでいる。具体的には、傾斜下部に穴を掘り雨水を貯め、乾燥しやすい砂地へ供給。海藻堆肥は保水性向上だけでなく、ミネラル供給源としても機能する。ヒマワリは風除け、緑肥となり、土壌有機物の増加にも貢献。マルチは地温と水分を安定させる。これらの工夫により、砂丘地帯でも作物を栽培できる可能性を示唆している。しかし、砂丘の不安定な性質、肥料流亡のリスクなど、更なる研究と改善が必要である。
余分な養分は緑肥に吸わせろ。高ECの場合
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植物は光合成で得た糖を、繊維質であるセルロースやヘミセルロース、リグニンの合成に利用する。セルロースはグルコースが直鎖状に結合したもので、植物の細胞壁の主成分となる。ヘミセルロースは様々な糖が複雑に結合したもので、セルロース同士を繋ぐ役割を果たす。リグニンはフェノール性化合物が重合したもので、細胞壁を強化する役割を持つ。これらの繊維質が増えることで、土壌の排水性と保水性が向上する。また、土壌中の微生物のエサとなり、土壌の肥沃度向上にも貢献する。つまり、糖は植物の成長に不可欠なだけでなく、土壌環境の改善にも繋がる重要な物質である。
土壌の余剰な養分は緑肥に吸わせろ
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土壌に過剰な養分が蓄積した場合、緑肥を栽培してその養分を吸収させ、その後すき込むことで土壌の状態が改善される現象について考察しています。過剰になりやすい養分として、カルシウム、リン酸、硝酸態窒素、硫酸塩を挙げ、緑肥によってこれらの成分、特に硝酸態窒素がどのように変化するのかを検証しようとしています。緑肥に吸収させた養分がすき込みによって土壌に還元されるにも関わらず、土壌の状態が改善される理由を探るという内容です。具体的には、まず硝酸態窒素の過剰状態に着目し、緑肥の活用による土壌改善メカニズムを解明していく予定です。
鳥取の砂丘未熟土での栽培
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鳥取砂丘未熟土での砂丘農業の様子を9年前の訪問時と今回を比較しながら紹介しています。砂丘未熟土は腐植が少なく保水・保肥力が低いという特徴があります。9年前、砂丘地帯の畑で頻繁に目にしたのは、畑の端に植えられた麦でした。これは風よけと緑肥としての役割を担い、砂と肥料分の流出を防ぐ効果があるとのこと。この麦の壁によって、海風から作物を守り、土壌や肥料分の保持に役立てているという砂丘農業の知恵が紹介されています。
栽培と畜産の未来のために補足
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ヒマワリは土壌のリン酸吸収力を高める緑肥として有効です。リン酸を吸収したヒマワリを土にすき込むことで、土壌のリン酸過剰状態を改善できます。特に家畜糞堆肥の使用でリン酸値が高くなった土壌で有効です。ヒマワリは大きな根を張り、土壌深くのリン酸も吸収します。地上部はカリウムを多く含み、すき込みによりカリウムも土壌に供給できます。リン酸過剰でカリウム不足になりやすい土壌で、ヒマワリはバランスを整える効果を発揮します。ただし、ヒマワリは土壌の水分を多く吸収するため、乾燥に注意が必要です。
栽培と畜産の未来のために2
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日本の栽培と畜産は肥料飼料を海外に依存している。食品残渣由来の有機肥料ですら、海外工場産のため輸入品。化学肥料も輸入燃料使用。飼料もトウモロコシ主体で輸入頼み。特に鶏は消化効率が悪く、鶏糞堆肥は実質輸入資源の塊。だからこそ、貴重な海外資源を日本で有効活用すべき。イネ科緑肥と組み合わせ、土壌へ確実に固定し、地下水汚染を防ぐことが重要。これが真の意味でのいいとこ取りであり、持続可能な農業への道。
栽培と畜産の未来のために
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家畜糞堆肥は、土壌改良に有効な成分を含む一方で、過剰な硝酸態窒素や石灰、有機態リン酸の蓄積による問題も引き起こす。これを解決する手段として、イネ科緑肥の活用が有効である。イネ科緑肥は、これらの過剰成分を吸収し、土壌への悪影響を抑える。また、緑肥の生育状況から次作に必要な肥料を判断できる利点もある。耕作放棄地に家畜糞堆肥と緑肥を用いることで、新規就農者の初期費用を抑えつつ、安定した収量と品質を確保できる可能性がある。研修生への暖簾分けのような形で畑を提供する仕組みが確立されれば、耕作放棄地の減少、家畜糞処理の効率化、新規就農者の独立支援に繋がる。実際に、鶏糞堆肥とエンバクを用いたカボチャ栽培で無肥料・無農薬ながら高い秀品率を達成した事例も紹介されている。
秋桜と書いてコスモス
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秋桜と書いてコスモス。明治期に渡来したキク科の一年草で、痩せた乾燥地でも育つため緑肥として利用される。満開になると緑肥効果は半減する。キク科の緑肥は日本では少なく、連作障害回避に有効。コスモスの種まきは3〜7月なので、6月までに収穫が終わるエンドウ、ソラマメ、ジャガイモ、タマネギ、ニンニクなどの後に適していると考えられる。リン酸吸収にも効果があるヒマワリと同じキク科なので、コスモスも多量施肥作物の後に有効と推測される。
植物と土壌微生物は互いに助け合う
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植物は土壌微生物と共生関係にあり、光合成産物と有用有機化合物を交換する。枯草菌の中には植物ホルモンのオーキシンを合成するものがあり、植物の根張りを促進する。オーキシンは植物の頂点で合成され根に届くまでに消費されるため、土壌中の枯草菌由来のオーキシンは根の成長に重要。枯草菌を増やすには、彼らが得意とする環境、つまり刈草のような環境を作る必要がある。納豆菌の例のように、特定の資材が豊富にあれば微生物は爆発的に増殖しコロニーを形成する。したがって、牛糞主体の土壌改良は、枯草菌の増殖には適さず、植物の生育促進には刈草成分が豊富な土壌が有効と考えられる。
夏といえばヒマワリの下で起こっている土壌の変化
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ヒマワリは景観だけでなく、緑肥としても優れた機能を持つ。特に土壌に蓄積した吸収できないリン酸を、吸収可能な形に変える効果がある。リン酸は有機質肥料や家畜糞に多く含まれ、過剰になりやすい。過剰なリン酸はカルシウム過剰によるミネラル欠乏や、有機態リン酸による様々なミネラルのキレート化で秀品率低下につながる。ヒマワリは菌根菌の働きでリン酸を可給化し吸収、土壌に残すことでリン酸量を減らしつつ可給態リン酸を増やす。無機リン酸の可給化には有機態リン酸分解菌資材、有機態リン酸にはクエン酸併用が有効と考えられる。これらの組み合わせで土壌のリン酸状態を改善できる。
クローバのことは河川敷で学べ
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シロクローバは匍匐茎を伸ばして広がるため、地表を覆うように生育する。この性質は土壌の乾燥防止や雑草抑制に効果的だが、背丈が低いため緑肥としての利用価値は高くなく、他の植物との競争にも弱い。一方、赤クローバは直立して生育し、背丈が高いため緑肥として適しており、根も深く伸びるため土壌改良効果も期待できる。河川敷のような自然環境を観察することで、植物の生育特性を直感的に理解し、緑肥としての利用価値を比較検討できる。実際には土壌条件や気候など様々な要因が影響するため、単純な比較だけでは最適な緑肥を選択できないが、実地観察は植物の特性を学ぶ上で貴重な経験となる。